天邪鬼とは妖怪だった!?ルーツは?各地域の伝承もまとめ!
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天邪鬼とは?妖怪?
ひねくれ者を意味する言葉「あまのじゃく」の語源になった妖怪「天邪鬼」とはいったいどんな妖怪なのでしょうか?ご紹介していきます。
天邪鬼は伝説や昔話に登場
「天邪鬼」は伝説や昔話によく登場しています。人間にいたずらをしたり、人の心中をうまく察して口真似などをして相手の意図に逆らったりする存在として語られます。
「瓜子姫」の中の天邪鬼
「瓜子姫」という昔話の中に登場する天邪鬼は、子供がいないおじいさんとおばあさんの家に瓜から生まれてやってきた瓜子姫が殿様のお屋敷へと召されようとするのを邪魔します。
瓜子姫はとても機織りが上手な女の子で、殿様のお屋敷へと嫁入りすることになっていました。
おじいさんとおばあさんが仕事に行っていてお留守番をしているところに天邪鬼が現れ、瓜子姫は家の戸を開けてしまったのです。
瓜子姫は着物を脱がされて柿の木に縛り付けられ、天邪鬼は瓜子姫から奪った着物を着て殿様のお屋敷へと向かいます。
しかしながら道中で正体が明らかになってしまい、天邪鬼は侍たちにつかまってしまうのでした。
この瓜子姫の話は、悪者の天邪鬼が山姥に代わっている地域(栃木県、富山県、岐阜県)もあるそうです。
夏目漱石の「夢十夜」の中の天邪鬼
夏目漱石の「夢十夜」にも天邪鬼が登場しています。第五話で、主人公は戦に負け、敵の大将につかまってしまいました。
主人公が「死ぬ前に一目恋する女に遭いたい」と願ったところ、大将は「夜が明けて鶏が鳴くまでなら待つ」と答えました。
そこで女が馬に乗って主人公の元へと急ぎました。しかしその時、暗闇の中から「こけこっこう」と鶏の鳴き声が聞こえ、女は驚きました。
思わず手綱を引き、その拍子に馬がつんのめって女も一緒に谷底へと落ち、死んでしまったそうです。
この話の中で「鶏の鳴く真似をしたものは天探女(あまのじゃく)である」とされています。
仏教での天邪鬼
仏教においては、四天王や明王、執金剛神などが天邪鬼を踏みつけている立像が多く見られます。天邪鬼を懲らしめているのだと言われています。
人間の煩悩を表す象徴とされています。
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天邪鬼の由来は!?古事記や日本書紀に記載がある?
妖怪「天邪鬼」の由来についてですが、「古事記」や「日本書紀」に記載がある「天探女」が由来だと言われています。
先にご紹介した夏目漱石の「夢十夜」に登場するあまのじゃくが「天探女」と書かれているのはこのためです。
天稚彦(あめのわかひこ)という神様が天照大神によって葦原中国を平定するよう遣わされたものの、務めを忘れ8年もの間戻らなかったそうです。
そこで雉名鳴女という雉を天稚彦の元に行かせるのですが、天稚彦に仕えていた「天探女」という女神が天稚彦をそそのかし、雉名鳴女は天稚彦に射殺されてしまいます。
雉名鳴女を射た矢は天に届き、高木神(たかぎのかみ)という神様が拾って、射返したところ、天稚彦にあたって死んでしまったそうです。
天探女は元々悪い神様というわけではなかったのかもしれませんが、その名の通り人の心を読み、探ることが得意だったようで、天の神様の邪魔をするようになりました。
そのようなことから「天の邪魔をする鬼」ということで「天邪鬼」と呼ばれるようになったようです。
天邪鬼の言い伝えのいろいろ!地域ごとの伝承は?
続いては、地域ごとの天邪鬼の伝承についてご紹介します。「天邪鬼」に関する伝承は地域によってやや異なるものがあるようです。
①やまびこやこだまを天邪鬼とする地域
自分そっくりの声で返ってくるやまびこやこだまが天邪鬼であるとする地域があります。あまのじゃくが声を真似しているとされています。
秋田県平鹿郡、茨城県稲敷郡、群馬県邑楽郡、静岡県田方郡などでそのように言われているようです。
②天邪鬼は巨人のようなものとする地域
神奈川県の箱根や静岡県の伊豆ではそのように語られているそうです。
③石垣や転がっている自然石を天邪鬼の仕業とする地域
誰が作ったのかわからない石垣や、山の上に自然石が転がっているような場所を天邪鬼のせいだとする地域もあります。
岡山県久米郡中央町(現在の美咲町)では二上山を天邪鬼が高くしようと石を積み上げて、完成間近で夜が明けて失敗したという言い伝えがあります。
兵庫県多可郡では、天邪鬼が山の間に橋を作ろうとして失敗したという言い伝えがあります。これらの失敗が原因で石垣ができたり石が転がったりしていると言われているのです。
④天邪鬼は炉の灰の中にいるとする地域
岩手県九戸郡では、天邪鬼は炉の灰の中にいると言われているようです。
⑤天邪鬼は蛹とする地域
東北地方では、天邪鬼は蛹であると言われています。
⑥天邪鬼はチャタテムシとする地域
チャタテムシとは茶せんでお茶をたてるときのような音を出す小さい虫で、ダニとよく間違われる害虫です。
⑦天邪鬼が子守をするとする地域
秋田県平鹿郡(現在の横手市)では、嬰児(生まれたての赤ん坊、3歳頃までの幼児)は天邪鬼が子守をするので泣かないという言い伝えがあるそうです。
天邪鬼は元々妖怪だった!
今回は妖怪「天邪鬼」について、ご紹介しました。天邪鬼という言葉は、元々は妖怪から来ていたようです。
しかし天邪鬼はそれほど強い妖怪というわけではなく、天の神様の邪魔はするもののすぐに懲らしめられてしまう妖怪のようです。少しかわいらしい気もしてしまいますね。
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