山姥の昔話!「三枚のおふだ」だけじゃない?【日本昔ばなし】
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山姥とは何者?どんな妖怪?
山姥についての昔話をご紹介していく前に、そもそも山姥とはどのような存在なのかご紹介します。
山姥とは?山に住む老婆の妖怪!
山姥とは、山に住んでいるとされる妖怪の事です。目が鋭く、口は耳まで裂けていて背が高い老婆の姿をしているとされています。
山を駆け回っては動物や人を食べてしまうと言われていますが、一方で人間に騙されることもあり、気に入った人間には富をもたらしたり仲人となったりするとも言われています。
山姥は山の神に仕える女性だった?
恐ろしい山姥ですが、実は元々は山の神に仕えている女性だったと言われています。
金太郎はあしがら山の山姥に育てられたとも言われています。
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山姥の昔話まとめ!【日本昔話】
それでは、山姥が登場する昔話についてご紹介していきます。
①三枚のお札
最初にご紹介する昔話は「三枚のお札」です。山姥が登場する昔話といえば、こちらのお話が一番有名なのではないでしょうか。
三枚のお札のあらすじをご紹介します。
むかしむかし、とある山寺のやんちゃな小坊主は栗拾いに行きたくなったので、和尚さんに山へ栗拾いに行ってもいいか尋ねました。
和尚さんは「山には山姥が出るぞ」と止めましたが、小坊主はどうしても栗拾いに行きたいとごねます。
そこで和尚さんは三枚のお札を渡し「困ったことがあったらこのお札を使いなさい。きっと助けてくれるだろう」と言い、小坊主は山へ栗拾いに行くこととなりました。
小坊主は山に行きました。大きな栗がたくさん落ちていて夢中で拾っていると、日が暮れてしまいました。
すると一人のお婆さんが現れて「栗を茹でてやろう」と家に呼んでくれたのでお婆さんの家に泊まることにしました。
その夜中、小坊主が目を覚ますと、お婆さんが包丁を研いで小坊主を食べようと準備しているのを見てしまいます。
小坊主はお婆さんの正体が山姥だったことに気が付き、「うんちがしたい」と言いました。
山姥は考え込みましたが、小坊主を縄で縛って便所に連れていきました。小坊主は、自分に縛られていた縄を便所の柱に括り、1枚目のお札を取り出して貼りました。
何かあったら自分の代わりに返事をするよう、お札にお願いをしました。
山姥が「まだか」と尋ねると、お札は「もう少し」と答えます。待てなくなった山姥が便所の扉をあけると、小坊主はいませんでした。
山姥は騙されたと怒り、小坊主を追いかけます。追いかけてきた山姥にkづいた小坊主は2枚目のお札を取り出しました。
「大きな川になれ!」と言ってお札を後ろに投げ、川ができたものの、山姥は飲み干してしまいます。
小坊主は3枚目のお札を出し、「山火事になれ!」と言います。しかし山姥は先ほど飲み干した川の水を吐き、火事は消えてしまいました。
小坊主は寺に逃げ帰り、和尚さんに助けてくれるよう頼みました。和尚さんは囲炉裏で餅を焼きました。
山姥が寺につき「小坊主を出せ」と言いましたが、和尚さんは術比べを提案します。
「山ほどに大きくなれるか?」と言うと山姥は大きくなりました。続いて「豆ほどに小さくなれるか?」と言い、小さくなってしまった山姥を持ちに挟んで食べてしまいました。
以降、山姥が現れることはなくなったそうです。
②ちょうふく山のやまんば
むかしむかし、ちょうふく山というやまんばが住んでいると言われていた山がありました。山のふもとには小さい村がありました。
とある年の十五夜の晩に村人たちがお月見をしていた時のことです。にわかに空が曇ったと思ったら、ちょうふく山から次にような恐ろしい声が聞こえてきました。
「ちょうふく山のやまんばが子供を産んだので、祝いの餅を持ってこい」
驚いた村人は米を出し合い、慌てて祝いの餅をついたのですが、やまんばが怖いので餅を持って行こうという人がいませんでした。
結局、村一番の乱暴者のかも安と権六に持っていかせようという事になりましたが、2人はやはりやまんばが怖く、道が分からないと断りました。
すると村一番の都市よりの大ばんばが道案内をかって出たため、断れなくなったかも安と権六は大ばんばの後をついていきちょうふく山へ行きました。
登っている途中、「餅はまだか」という不気味な声が聞こえ、かも安と権六は驚いて餅を放り出して逃げ出してしまいました。
大ばんばは仕方なく、そこに餅を置いて頂上にあるやまんばの家を訪ねて事情を説明しました。
すると、やまんばは「昨日生まれた赤子に餅をもらってくるよう使いを出した」と言いました。先ほどの恐ろしい声は赤子の声だったようです。
やまんばは赤子に餅を取ってくるよう使いに出し、あっという間に餅を持って帰ってきました。
大ばんばはやまんばの赤子に驚き帰ろうとすると、引き止められてしまいました。それから21日間、やまんばの家で掃除や洗濯などをしました。
大ばんばが帰る際、やまんばは「長い事引き止めてすまんかった。」と見事な錦の反物をくれました。
大ばんばは赤子に送ってもらい村に帰ると、村では大ばんばが亡くなったと思われ、葬式の最中でした。
大ばんばはやまんばにもらった錦の反物を村人にも分けてあげました。錦の反物は使っても使っても無くならず、村のみんなは錦を売って幸せに暮らしました。
③右手を出した観音像
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むかしむかし、とある山中に山姥が住んでいました。この山姥はいつも赤ん坊の泣き真似をしており、村人がそれを聞いて泣き声に近づいたところを捕まえて食べていました。
そのため、村人はこの山に近づこうとはしなかったそうです。
この山のふもとの村には卯平太(うへいた)という力持ちの男がいました。卯平太は「山姥はおらが退治してやる」と一人で山へ行きました。
山に登り始めてしばらくすると、赤ん坊の泣く声がしました。そちらに行ってみると、一人のおばあさんが立っています。
卯平太はおばあさんに「こんなところでどうした?」と声をかけました。おばあさんはとても困った様子で「村へ帰る途中、道に迷ってしまった」と言いました。
卯平太は村ではこのおばあさんを見たことが無く、このおばあさんは山姥だと気が付きました、
そこで何食わぬ顔で「村までおぶってやろう」といい、山姥はニヤッと笑って卯平太におぶさりました。
卯平太は山姥の両手をぎゅっと握り、背負ったままどんどん山を下りました。
山姥は両手を握られていて何もできず、山のふもとについてしまい「おろしてくれ」と叫びますが、卯平太は「村はまだ遠い」といい、ついに卯平太の家についてしまいました。
卯平太は家に飛び込むと戸と窓をしっかりと閉めて囲炉裏の火を大きくし、山姥をおろして囲炉裏へとつきとばしました。
「あちちちち!」と山姥は囲炉裏から飛び出し、家の中を逃げ回りました。卯平太が飛びかかろうとしたところ、フッと姿を消しました。
卯平太が部屋を調べると、仏壇の観音様が2つに増えていました。
山姥が観音様に化けたことに気が付きましたが、どちらが本物か見分けがつきません。本物を壊してしまうとばちが当たってしまうでしょう。
そこで卯平太は次のようにいいました。
「観音様に小豆ご飯を供えるのを忘れていた。うちの観音様は不思議なもので、小豆ご飯を供えるとにっこり笑って右手を出すからなあ」
そして小豆ご飯を仏壇に供えたところ、片方の観音様がにっこり笑って右手を出しました。
卯平太はその右手を掴んで力いっぱい投げつけました。観音様は山姥に戻り、逃げ出そうとしたので、卯平太は懲らしめました。
こうして村人は安心して山に行けるようになりました。
④山姥の顔をしたかんぴょう
むかしむかし、洞穴がたくさんある谷があり、その洞穴の1つに、いつからか山姥が住み着いておりました。
ある日、機織りの家にその山姥が人間のおばあさんに化けてやってきました。
「金もいらないしご飯も食べないので、ここで仕事をさせてくれ」というので、おかしなおばあさんだと思いつつも、ただで働いてくれるという事で、機織りの主人はおばあさんを働かせることにしました。
おばあさんは毎朝同じ時間に来て、夕方まで糸車を回していました。しかしながら、何日たっても糸巻きの太さは変わりませんでした。
主人は不思議に思い、おばあさんの様子をそっと覗きました。すると糸車を回しながらあくびばかりしていたのです。
さらにおばあさんの口の大きさは普通の人の10倍はありそうな大きさでした。
主人はおばあさんが人間じゃないと見破り、次の日、火鉢に小石を入れておばあさんがあくびをする瞬間を待ちました。
しかし、主人が近くにいるためか、おばあさんはあくびをしません。主人はわざと違う方を向いていると、ついにおばあさんがあくびをしました。
主人はその瞬間、焼けた小石をおばあさんの口へ投げ入れました。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」と悲鳴をあげたおばあさんは飛び上がって外に逃げていきました。主人は若い男たちとおばあさんを追いかけたのですが、あっという間におばあさんの姿は見えなくなりました。
数日後、村人が谷川のそばで魚を取っていたところ、目の前の洞穴から人のうめき声のような声が聞こえたので中を覗いてみました。
すると中には山姥がいて、苦しそうにもがいていました。
村人は、この山姥が機織りの家に来ていた山姥かもしれないと思い、機織りの家の主人に知らせにいきました。
主人が洞穴に行ったところ、山姥はいなくなっていて、口の中を火傷している山犬が一匹死んでいました。
主人は、この山犬が山姥に化けて、さらにおばあさんに化けて家に来ていたのだと思い、山犬の死体を近くの山に埋めました。
その年の夏に、機織りの家のかんぴょうのつるに、大きな実がなりました。しかしこの実は大きくなるにつれ、人の顔のようになっていきました。
気味悪がっていたところ、ついにこの実はあの山姥の顔そっくりになってしまいました。
主人は若い男に、早く実をとって川に捨ててくるように命令し、若い男は実をとって川に捨てに行きました。
このまま捨てると川下の人達がびっくりするだろうということで、若い男は斧でこの実を2つに割りました。
すると中から血がほとばしり、若い男は驚いて川に投げ捨て、振り返らず逃げ帰りました。かんぴょうの実は、川の水を真っ赤に染めながら川下へと流れていきました。
それ以降、機織りの家には不幸が度重なり、何年もせずに家は滅んでしまったという事です。
それからというもの、この地方では現在もかんぴょうだけは作っていないそうです。
⑤山姥(福島県耶麻郡磐梯町に伝わる昔話)
むかしむかし、とある村の端にある一軒家にケチな男が住んでいました。
鼻くそでさえ人にあげるのは惜しいと、可哀相な人が何人いても人を助けようと思ったことはなかったんだそうです。
しかし、年齢を重ねるにつれて嫁がほしくなりました。それでも、ご飯をあげるのも綺麗な着物を着せるのも大変だから、ご飯も食べなければ綺麗な着物も欲しがらない嫁はいないかなと思っていたそうです。
とある晩、ケチな男がご飯を済ませ、囲炉裏の端で暖まっていたところ、家の戸を叩く人がいました。
こんな時間に誰だろうと思い戸を開けると、綺麗な着物を着た可愛い女性でした。
男は驚いて「どうしたの」と聞きました。女性は「この家ではご飯を食べず着物もいらない嫁が欲しがっていると聞きました。仕事も一生懸命しますので、嫁にしてくれませんか」と言いました。
ケチな男は、こんなにかわいい女性が、ご飯も食べずよく働くなら儲けものだ」と思い、女性を家にあげて今晩は泊まらせることにしました。
ケチな男が翌朝目を覚ますと、昨晩来た女性はご飯を作っていました。男は今まで一回も誰かにご飯をつくってもらったことはありませんでした。
喜んで食べてみると「こんなにおいしい物はない。その上ご飯も食べない嫁となると、願ったり叶ったりだ」と思い、この女性を嫁にすることを決めました。
それからというもの、男は畑に行き、嫁は家で仕事してご飯も作って稼ぐので、男はとても喜んでおりました。
男は、「願ってご飯食べない嫁さんをもらったことだし、今に幸せになるだろう」と思っていました。
それから10日、いや20日くらい過ぎた頃、嫁がいないときに、男は米櫃の蓋を開けて中を見てみたのですが、すぐ「あれっ」と気が付きました。
自分一人の頃と比べて、米が早くなくなっていたのです。ケチな男はすぐに気が付きました。
それからは、嫁がいないときにこっそりと米櫃の中を見ては、減り方が早くなっているのがわかりました。
いつか証拠を見つけてやろうと、台所の脇にある物置の壁に覗き穴を作っておき、朝ご飯を食べ、嫁に「今日は町に用を済ませに行くから、昼ご飯はいらないぞ」と言いました。
そして男は出かけるフリをして、こっそり戻って覗き穴を見ていました。
すると嫁は男がいなくなったと見たとたん大急ぎで戻り、台所の隅にあった一番大きな鍋を出して米櫃から丼で米をすくって鍋に入れて米を研ぎ、米を炊き始めました。
男は、米が無くなっているのはこのせいだと思いました。男は、もったいないと思いましたが我慢してみていると、米が炊けました。
嫁さんは米で握り飯を作り、鍋が空になると、結っていた髪をおろしました。すると、頭には大きな口がありました。
男は、米がもったいないと思いつつも嫁が恐ろしいので困っていました。嫁は握り飯をどんどん頭に食べさせました。
男は米がもったいないのと嫁が恐ろしいのでついつい声を出してしまいました。すると嫁はご飯を食べるのをやめて後ろを向き「見たな」と言いました。
その顔は、かわいらしいいつもの嫁ではなく、山姥でした。
男は逃げ出しますが山姥は足がとても速かったのです。逃げられないと思い、道端の菖蒲の葉の先を結んで罠を作って逃げました。
すると山姥は罠にかかりつんのめり、切り株に目が刺さってしまって目が見えなくなり、山の方に行ってしまったという事です。
男はそれ以降ケチはやめよう、可哀想な人には米でもお金でもあげようと決めました。
⑥牛方と山んば
むかしむかし、とある牛方は干し魚を牛にたくさん背負わせ、山を越えて村に向かっていました。道中、山姥に出会ってしまいました。
山姥は魚を食わせろというので、1匹ずつ魚をやって時間を稼ぐことにしました。
しかし山姥はあっという間にどんどん魚を食べ、魚は減り、とうとう最後の魚も平らげてしまいました。
すると山姥は、牛かお前のどちらかを食わせろというので、牛方は相棒の牛を見ました。牛がいないと仕事ができなくなりますが、命には代えられないので牛を見捨てて逃げました。
山姥は牛を丸のみにしてしまい、牛方を食べようと追いかけてきました。牛方は、池の近くに生えていた木に登り、隠れました。
しかし牛方の姿が池の水に映っていて山姥に見つかってしまいました。しまった!と思いましたが、山姥は池に映った牛方を本物だと勘違いし、池に飛び込んでしまいました。
牛方はその隙に木から降り、一軒のあばら家に逃げ込み、屋根裏に隠れました。
しかしその家は山姥の家だったのです。山姥が帰ってきて「このまま寝るか、ネズミが怖いので釜の中で寝るか、どっちにしようかな?」とつぶやきました。
牛方は、山姥がネズミが嫌いでネズミにかじられるのを怖がっていると聞いたことを思い出しました。
そこで牛方は、そばに落ちていた木片をがりがりかじり始めました。するとこの音を聞いた山姥が、屋根裏にネズミがいると思い、慌てて釜の中に逃げました。
相棒の牛の仇を取ろうと、牛方は屋根裏から降りて釜の上に大きな石臼を置き、釜の蓋が開かないようにしました。
そして牛方は、かまどに火をおこしました。かまどの火は燃え盛り、山姥は焼け死んでしまったそうです。
⑦山んばの嫁さん
むかしむかし、深い山に山姥が住んでいました。その山裾に小さい家が一軒建っていて、そこにはおじいさんが住んでいました。
ある夜中に、おじいさんの家の戸がトントンとなり、山姥が現れました。「おじいさんのところに嫁に来ました」というので、おじいさんは「嫁はいらない」と言いました。
山姥が襲い掛かろうとするので、おじいさんは仕方なく「嫁にする」と言いました。
恐ろしい嫁だと思っていたおじいさんでしたが、山んばはよく働く嫁でした。
ご飯を作るのは上手で、おかずもおいしかったので、おじいさんは山んばをしばらく家に置いておくことにしました。
しかし、それから2~3日毎に米を買ってくるように山んばの嫁から頼まれるようになり、おかしいと思って、出かけるフリをして木に登り天井裏から、家の様子を見ることにしました。
すると山んばは寝ていましたが、起きると大きな鍋でご飯を炊き、人間の頭ほどのおにぎりをたくさん作りました。
そして次々にそのおにぎりを食べていました。これではやはり困ると思い、さんざん考えて、山んばに山へ帰るように伝えることにしました。
しかしその代わりにこしき(籠のようなもの)を買ってきてくれと山んばが頼みました。
おじいさんはこしきを買ってきましたが、山んばにこしきの中に入れられ、山へと連れていかれました。山んばが疲れて座り込んでいる間にこしきから抜け出しました。
木に登り隠れたところ、おじいさんがいなくなったのに気が付かなかった山んばは、休憩が終わり、そのまま行ってしまいました。
山んばは子供たちのところにつき、おじいさんを子供に食べさせようとしたところ、おじいさんがいないことに気がつきました。
山んばはおじいさんを探しにやってきて、おじいさんは慌てて木に登りましたが見つかってしまいました。
山んばは乳を出して、乳を振り回し、木を切っていきました。おじいさんは「乳は切れても木は切れない」と呪文のように繰り返しました。
すると山んばの2つの乳が切れてしまい、「痛い」と叫びながら逃げ帰ってしまいました。
この後、山んばは山から下りてくることはなくなったという事です。
山姥の昔話まとめ!
今回は山姥の昔話について、まとめました。三枚のお札はとても有名ですが、日本昔話には山姥が登場する昔話はいくつか存在していたようです。
中にはとても怖い話もありましたね。初めて知った話も多かったのではないでしょうか?面白い話がありましたら幸いです。
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